われわれの新しい思考や新しいツールは、「最悪の事態」のシナリオを回避するために
十分な時間の中で新しい世界の出現を加速することができる。
ただし、これは「われわれが今行動を起こせば」の話である。
われわれに時間は残されていない上、やるべきことは前例のないことばかりだ。


アーヴィン・ラズロ博士〜ワールドシフトとは何か〜 from DP lab on Vimeo.

ワールドシフトとは何か

ワールドシフトとは発展の方向性を変える、つまり新たな方向へシフトすることを意味します。現在の方向は危機を生むばかりで、持続可能なものではありません。富は限られた人だけに集中し、貧困は広がってゆきます。雇用、教育、エネルギー問題が生じ、その状態では人類の文明は持続不可能であり、70億の人口を養うことはできません。
ワールドシフトは今までと異なる目的、優先権、そして価値観を持つことです。

意識のシフト。

シフトは誰かが指示したり命令して成立するものではありません。チェンジは人々のマインドによって起こります。このままでは人類という家族は生き残れないということに、我々一人一人が気付くことです。そして新しい価値観を手にしたときにチェンジできるのです。新しい意識が芽生えたとき、新たなカルチャーが始まります。団結と協調の文化です。我々は人類という一つの大きな家族であり、一人の行動が全体に影響します。かつての自然に根ざした生活を取り戻し、我々は地球の一部であるー有機体であることを自覚しなければなりません。

日本の役割

本来の日本は自然と共にあり、協調や協力を重んじてきました。しかし戦後、日本は急進的に産業を発展させ、物質主義にシフトしました。今、もう一度本来の「和」の精神を見直し、それをテクノロジーと融合させ、最新の知識と伝統的な価値観を併せ持つ新しい文明を開いてゆくことが求められています。

2009年、1月21日 ブダペストクラブ本部(ハンガリー)にて取材
インタビュー:守乃ブナ、構成・谷崎テトラ
協力・ブダペストクラブ ジャパン、動画提供・DP LAB

◯ブダペストクラブとは?

世界賢人会議ともいわれるシンクタンク。ミハイル・ゴルバチョフ(元ソビエト大統領)、ダライ・ラマ(法王)、アーサー・C・クラーク(作家)、ピーター・ガブリエル(音楽家)、ムハマド・ユヌスなど、ノーベル平和賞受賞者を含む50人を超える世界の賢人が参加。よりよい未来をつくるための提言を行っている。

◯アーヴィン・ラズロ博士・プロフィール

哲学者。世界賢人会議「ブダペストクラブ」の創設者・会長。かつてはコンサートピアニストとしても活躍。「システム哲学」と「一般進化理論」の創始者としても知られる。70冊を超える著書、400以上の論説や研究論文を発表している。ニューヨーク州立大学教授、ベルリン国際平和大学理事、ユネスコ事務局長顧問などを歴任。「世界の知性」と称えられるローマクラブの創設者・会長だった故アウレリオ・ペッチェイの右腕として『成長の限界』などのレポート作成に参加したほか、国連調査訓練研究所(UNITAR)所長として発展途上国が抱える課題の解決に取り組み数々の実績をあげた。名誉博士号ほか受賞歴多数。日本では映画『地球交響曲(ガイアシンフォニー)第五番』(龍村仁監督)の出演者としても知られる。04年、05年、ノーベル平和賞候補。最新刊『CosMos コスモス』(講談社刊)他、著書多数。